学者が市場で勝てない理由

 

 

相場はありとあらゆる時代、場所にある。

安く買って高く売り抜ける。

シンプルなことなのに

負けている人間が多数派になる。

期待値を計算することが鍵となりそうだ。

しかし、

それならIQや演算能力が高い人間が勝つはず。

 

だが実際、

学者や研究者が勝っている訳でもない。

微分積分の概念を体系化し、

万有引力を発見し、天体の動きを予測できた

アイザックニュートンでさえ

市場では大損し撤退した。

 

学者がなぜ負けてしまうのか?

今日はこれを

テーマとして考察していこう。

 

相場における最大の“変数”は、

統計調査の母集団が、

そのまま予測を行う参加者自身でもある事。


つまり、“自分の行動”とそれがもたらす“結果”の二つを互いにフィードバックさせ合いながら“予測し続け”ねばならない。


これがもたらす最大の効果は、どこまで予測を読み込むかによって、結果が違ってくると言う事。

 

話が抽象的過ぎるので、

具体例を挟もう。

 

以下引用。

社会実験

〜平均値当てゲーム〜

 

ゲームの参加者は、

他の参加者には分からないようにして、

0から100までの中から、

整数の数字を1つ選ぶ。

参加者がみな数字を選んだところで、全員が選んだ数字の平均を計算してみる。

そして、その平均の3分の2にいちばん近い数字を選んだ人が勝者となり、賞品を得ることができる。

 

このゲームはケインズ美人投票と似ているが、

違う点が2つある。

選ぶ対象が写真ではなく、数字である点。

そして平均ではなく、平均の3分の2にもっとも近い数字を選んだ人が勝者となる点だ。

さて、あなたがこのゲームに参加するとしたら、どういう数字を選ぶべきだろうか。

話を簡単にするために、このゲームには参加者が数万人もいて、

あなたが選ぶ数字によって、

全体の平均の値が変わることはほとんどない、

今回はすなわち無視できることにしておいて考察を進めよう。
 
【考え方1】
まず、他人は適当に数字を選ぶものと仮定してみる。「0から100までの数字から、参加者がランダムに数字を選んでいけば、その平均は50になるはずだ。すると、平均の3分の2は、50の3分の2で『33』。この数字を選べば勝者となれるはず……」。これは、ランダムな平均から数字を選ぶ考え方だ。
 
【考え方2】
しかし、ここで次の考えがふっと頭をよぎる。「みんなもいまの自分と同じように考えて、33を選ぶのではないだろうか。すると、平均は50ではなく、33になる。そして、平均の3分の2は『22』となる。よし、この数字を選ぼう」。これは、他人の心理を読んで1つ上をいく考え方だ。
 
【考え方3】
ところが、さらに次の考えがわいてくる。「いや待て。みんなもこの1つ上をいく考え方をしたらどうなるだろうか。みんな22を選ぶはずだ。すると、平均も22になる。平均の3分の2は『15』。この数字を選べば勝者になれるはずだ」。これは、他人の心理を読んで2段階上をいく考え方といえる。
 
【考え方4】
一方で、まったく別の考え方も出てくる。

「まず、絶対に勝者にならない数字を選ぶことは避けたい。仮に、全員が100を選んだとしよう。その場合、平均は100になる。そして、平均の3分の2は、67となる。実際には、100よりも小さい数字を選ぶ人がいるだろうから、平均の3分の2は、67よりも小さくなる。
つまり、平均の3分の2は最大でも67で、それより大きくなることはない。68から100までの数字を選ぶと、絶対に勝者にはなれないわけだ。参加者は、みんなそのことに気がつくだろうから、選ばれる数字は、0から100までではなく、0から67までの中になる。
この中から、みんなが適当に数字を選ぶものと仮定すべきだろう。0から67までの数字から、参加者がランダムに数字を選んでいけば、33くらいが平均になる。そして、平均の3分の2は『22』となる。よし、この数字を選ぼう」

この数値は、たまたま【2】と同じになった。これは、他人の心理を読んで選択範囲を限定する考え方だ。
 
【考え方5】
そして、その上をいく数字の選択も出てくる。「他人の心理を読んで選択範囲を限定すると、みんなは22を選ぶはずだ。すると、平均も22になる。平均の3分の2は『15』。この数字を選べば勝者になれる」。この数値は、【3】と同じになった。これは、他人の心理を読んで選択範囲を限定する考え方の1つ上をいく考え方だ。
 
しかし、さらにさらに、考えは深まっていく。「【3】や【5】のように、みんないろいろ考えて、その結果15を選ぶだろう。そして、平均も15になる。平均の3分の2は『10』だ。つまり、この数字こそ、勝者が選ぶ数字だ」。

この「上をいこう」とする考え方には、限りがない。10の3分の2、そのまた3分の2、さらにその3分の2……と、考えを深めていくと、最終的には0に近づいていく。

「みんなが合理的に考えれば、結局のところ、平均の3分の2は『0』に行き着く。これこそが、本当に選ぶべき数字だ」

本当にそうだろうか?
 
さて、実際の実験結果はどうだったか。1997年に、イギリスのフィナンシャルタイムズ紙が、読者を相手にこのゲームの実験を行った。その結果によると、勝者の数字は「13」となった。つまり、【3】の他人の心理を読んで2段階上をいく考え方をした人、もしくは、【5】の選択範囲を限定する考え方の1つ上をいく考え方をした人、に近い数字を選んだ人が勝者となった。

この実験で、もっとも多くの人が選んだのは『22』だった。他人の心理を読んで1つ上をいく考え方、もしくは、他人の心理を読んで選択範囲を限定する考え方をとった人たちだ。次に多かったのは『1』で、『0』も4番目に多かった。これらは、他人の上をいこうと何段階も考えを深めていった人たちだ。そして、3番目に多かったのは『33』。ランダムな平均から数字を選ぶ考え方をとった人たちだ。
 
この結果をみると、他人の心理を読んで2段階上をいく考え方をするぐらいが適度な思考ということになる。それよりも考えが浅かったり、深く考え過ぎたりすると、このゲームの勝者にはなれない。

 

なかなか面白い。

 

投資に置き換えると、

安く買って高く売ればいいのだが、

全員がその思考を持っている。

 

 

俺が思う

学者が勝てない理由は、

全てが論理的に進むと思っていること。

簡単に言うと人より頭が良すぎてしまうから。

 

自分の認知限界を基準に考えてるうちは

一生バカの合理性は読めない。

 

投資の場合、

景品が貰えないだけでなく損をすることもある。

 

投じた資産は同じでも

誰かにとっては全財産かもしれないし、

誰かにとってはどうでもいいような額かもしれない。

 

人の立場、情報網、嗜好、行動原理は各人によって違うし、

各人がそれを考慮に入れるのか、入れないのか

によって平均や結果は合理から乖離していく。

先程のゲームでは合理だけを基準に考えたら、

0を選ぶのが最適。

だが、それでは勝てなかった。

 

 

イレギュラーなことが起こりうるのが相場。

そのイレギュラーなことは価格に織り込まれる。

完璧に予想できる人間はいない。

 

合理的だと考えて取った選択も

あくまでその人の主観に過ぎない。

 

損をする場合もあることを考えると、

合理が通じない場合の方が多い。

 

含み損が膨らみすぎてどうすればいいのか分からなくなってしまうことを投資をやった人なら経験したことがあるのでは?

 

うまく多数派に乗っかることが出来ればいい。

できなかった場合の損失を最小限にし

出来た時に大きく利益を取る。

その程度の認知で十分。

 

不完全なものを見ると

全てを理解しようとしてしまう。

だから勝てない。

不完全だと割り切って勝負をする。

負けることもあるかもしれないが

トータルで勝つことを考える。

 

不完全なゲームなら

それでいいというのが俺の推察。